ブログ
Blog
ジョーカーは誰の手に?
2025.05.09
今年のGWが終わり、弊社も通常営業が始まりました。
関西万博が開催されている事もあり国内旅行が活況なうえ
海外渡航者も前年より1割ほど増えたそうで、皆さま思い思いの休日を満喫されたことと思います。
さて、トランプ大統領が就任して既に4か月、世界中を巻き込んだ関税騒動は90日の
猶予期間が設けられた事でいったん小休止ながら、7月には再び波乱が予測されます。
そこで、今更ながら今回の関税騒動をおさらいしてみましょう。
現在アメリカは大幅な貿易赤字を出しており、これを懸念した大統領は
本年4月2日に「経済的独立宣言」として全ての国・地域からの輸入品に対して一律10%の関税を設定し、
更に各国が独自に採用する規制などの非関税障壁に応じて税率を上乗せすると発表しました。
これを受け世界各国がその対応に追われ、アメリカからの輸入品については関税を0%にする
と表明する国も現れるなか、我らが日本も複数回の交渉に挑んでいます。
ここまで読んで、ちょっと何を言ってるかわからない。
という方もみえるかもしれませんので、まずは関税について簡単に説明いたします。
関税とは漢字の”関”が使われている通り、関所の役割を果たす税金です。
価格競争力が高いと考えられる他国産品から自国の産業を守る為に
輸入通関時に発生する税金と捉えてください。
例えば弊社で取り扱いのある中国産缶詰の場合、
筍水煮缶であれば13.6%、みかん缶であれば23.8%の税率が税金として徴収されます。
仕入のコストで言えば100円の筍なら14円が、100円のみかんなら24円が上乗せされる計算です。
このように、自国で流通するほとんどの輸入商材は商品代金に関税が含まれており、
消費者はその分高く購入させられている、と考えていただいて差し支えありません。
この税金の目的は上で述べたように日本国内の栽培農家や生産工場を守る為です。
にも拘らず現在の日本では、衣食住に関する商品の大半が輸入品頼りとなっており、
特に食品や衣料に関しては相当の割合で業界規模が縮小している事から、
国内産業保護の観点で見ると、本来の目的を果たせているのか判断は難しいところです。
ちなみに日本国内においてぶっちぎりで高い関税率を誇るのは”こんにゃく芋”です。
現在の通常関税は3,289円/kで、仮に㎏あたり800円で輸入した場合
輸入価格は4,089円となりパーセント換算すると…なんと約500%!!。
絶対に日本国内へこんにゃく芋は輸入させないぞ!という強い意志を感じます。
もちろん公正に取り決められた税率ですから、日本にとって大変重要な産業である
とみなされての設定なのでしょう。
ちなみに、国内トップの生産地は群馬県。戦後最も多くの総理大臣を輩出している都道府県ですね…
ちょっと脱線してしまいましたが、トランプ大統領が問題視している関税
というものを薄っすらとでもご理解いただけたら幸いです。
そのうえで今回の大統領の言い分をザックリ要約すると…
日本でアメ車が売れないのは高い関税が邪魔をして日本車との競争力を弱められているからだ!
その対抗策としてアメリカに輸入される日本車にも同じ率の関税をかけて競争力を弱めてやる!
となるようで、これがいわゆる相互関税です。
この言い分に対し、
じゃあiPhoneを筆頭とするアップル製品は高くても日本中で使われているし、
アメ車と同じように関税のかかったドイツ車やイタリア車は人気があるから
おたくの商品の魅力が低いだけなのでは?
はたまた、
相互関税を実施する事でアメリカ国民の商品購入金額が大幅に上がり
好調な経済状態まで悪化させてしまうのでは?
といった反論を簡単に思いつくほど、矛盾した考え方のような気がします。
しかしそこは凄腕ビジネスマンであるトランプ大統領
そもそも大風呂敷を拡げて相手を狼狽させ有利にディール(駆け引き)を進める達人です。
今回も関税の話はあくまで手段であり、本来の目的へと上手に誘導しているのかもしれません。
例えば、
日本を含む各国がアメリカ国内の工場で商品を製造すれば関税の対象外となるので
工場誘致が容易となり、労働市場の改善とGDP向上という課題を一気に解決、
ゆくゆくは、現在世界の工場と言われている中国からその立場を奪還できる!
とか…
この考えが正しいかどうかはさておき、是が非でもアメリカ国内の産業を活性化し
自国の消費・経済を是正しようとしている事に間違いはないでしょう。
片や日本政府は大慌てで対応しているようですが・・・今のところ交渉は難航している様子です。
なんとかトランプさんの真意を見抜き、ビシッと切り札を切ってもらいたいものですね。
A.K